花はすグリーフケアカフェ北九州 〜「経験していない母親」の存在から見えること〜

2025年7月8日(火)、北九州市立男女共同参画センター・ムーブにて【花はすグリーフケアカフェ北九州】を開催しました。
今回のカフェタイムは、昨年に引き続き2回目。昨年は、スタッフの中に北九州在住の方がいたことがきっかけでの開催でしたが、今年は北九州から訪れてくださる参加者の存在もあり、再びムーブフェスタ2025に参加させていただきました。
「経験していない母親」の存在
今回の対話のなかで、ひとつの大きなテーマが浮かび上がりました。
それは、「経験していない母親」の存在が、グリーフ(喪失)にあるお母さんたちに与える影響です。
流産や死産を経験された方の多くが、周囲からの無理解に傷ついています。
中でも、「身内に同じ経験者がいない」という状況は、とても孤独です。
たとえば、身近な家族。夫はもちろん、自分の母親ですら、その喪失感や悲しみを理解してくれない。
月日が経つほどに「いつまでも引きずってる」と思われるのではと、気持ちを話すことができなくなっていく…。
そんな中で、多くの方がSNSで共感できる相手を探し、見知らぬ誰かの言葉に救われたり、逆に何気ない言葉に傷つけられたりしています。
「友達に話すより、身近ではない人にお話するほうがいろいろ話せて楽ですね」
「少し離れた親戚のおばさんが流産経験者で、唯一わかってくれる存在だけど・・・」
経験していないからこそ、平気で心ない言葉を言ってしまう。
そして言われた側は、笑ってやり過ごしても、心の奥では傷ついている。
「だからといって腫れ物に触るような扱いは嫌ですね」
「少しずつでもお友達に、話せる人に、打ち明けていく。
いろんな反応がありましたが、少しずつ慣れていきました。大切ですね」
この日のお話の中でも、そんなエピソードがいくつも語られました。

「命は奇跡」…その想いを伝えたい
私たちはふと思いました。
この話を、学生たちにも届けられたらいいのではないか。
今ある自分の体、命。
それがどれほど尊いものか、奇跡であるものかを、若いうちに知っておくこと。
それは、将来自分自身を、そしてパートナーや生まれてくる子どもを大切にする第一歩になるのではないかと。
現在、「プレコンセプションケア」という考え方が広がっています。
これは、受胎前(プレ=前、コンセプション=受胎)の段階から、自分の健康や生活を見つめ直していこうという取り組みです。
▶ プレコンセプションケアとは?
プレコンセプションケアとは、「将来の妊娠」に備えて、女性やカップルが生活習慣・心身の健康に向き合うこと。
妊娠を計画している人だけでなく、すべての妊娠可能年齢の女性にとって大切なケアです。
- より健康な体づくり
- 元気な赤ちゃんを授かるチャンスを高める
- 将来の家族も含めたよりよい人生設計
このような観点から、若い世代に命の話、グリーフの話が届いていくことはとても意味があると感じています。
私自身、今年に入って知った言葉で福岡県はこれに取り組みはじめています。
続ける理由──私たちは「おせっかいおばちゃん」
花はすお話会のスタッフは、少し砕けて言えば「おせっかいおばちゃん」たちです(笑)
けれど、なぜこの活動を続けているのかと問われれば、それはやっぱり──
- 自分たちと同じように、今もどこかで悲しみの中にいる人がいるから
- 自分がそうだったように、「誰か経験者を探している人」がいるかもしれないから
という気持ちです。
代表の江藤自身は、流産の経験者であり、死産や新生児死の経験はありません。
けれども、一緒に活動している仲間には死産や新生児死の経験をもつスタッフもいます。
また、これまでたくさんの経験者の方のお話を聴かせていただき、それを「代弁する」という形をとっています。
「グリーフケア士」の観点から、お一人おひとりに寄り添いながらお話させていただいています。
私たちは、どこかの誰かに寄り添える存在でありたいと思っています。
この活動を通じて、必要な人に、必要な言葉や想いが届くことを願っています。
🌸今後の予定
【花はすグリーフケアカフェ苅田】
2025年7月10日(水)10:30〜14:00
会場:つどいの家なないろは(苅田町)
内容:色彩心理学キュービックパステルアート&カフェタイム
講師:古賀けい子さん
参加費:ワークショップ500円/カフェタイム無料
お昼ごはん持参OK・途中入退室OK
【花はすグリーフケアカフェ行橋】
2025年7月17日(木)10:30〜14:30
会場:Powanハウス(行橋市)※行橋市民限定
内容:メモリアルロゼットづくり&絵本の読み聞かせ・カフェタイム
講師:かとうかおりさん
参加費:無料(ロゼット印刷希望は7/14締切)
最後に
私たちは、どんな別れにも意味があると信じています。
誰かに話すことで、誰かと笑い合うことで、少しずつ癒えていくものがある。
時間はかかるかもしれませんが、微力ながらお手伝いできたらと思っています。
-久しぶりにお会いできて嬉しかった。たくさんお話を聞いてくださってありがとうございます-
私達も皆さんと同じで私たちもお別れした「命」や「今」に向き合える時間を一緒に過ごすことができる貴重な時間なのです。
これからも、花はすお話会はそんな場所を作っていきたいと思っています。
必要な人に、この想いが届きますように──。
花はすお話会 スタッフ一同