グリーフケアとして―手を動かして、心を癒すワークショップ─カルトナージュ2025年5月(カフェ苅田)

こんにちは。花はすお話会の江藤弥生です。
遅くなりましたが、5月開催したカルトナージュワークショップを行った花はすグリーフケアカフェ苅田のご報告です。
2025年5月に開催された【花はすグリーフケアカフェ苅田】では、毎回ご好評いただいている「ものづくりワークショップ」を開催しました。
今回のテーマは、カルトナージュ。
あまり聞きなじみのない方もいらっしゃるかもしれませんが、「カルトナージュ(Cartonnage)」とはフランス語で「厚紙工作」という意味の伝統工芸です。
厚紙(carton)で組み立てた箱やケースなどに、お気に入りの布や紙を貼って仕上げていく、優雅で自由度の高いハンドメイド作品づくり。
最近では牛乳パックなどを使って気軽に楽しめたりと身近なものづくりとして人気が高まっています。

今回の講師は、「花はすお話会」のスタッフでもあり、当事者でもある眞倉みのりさん。
彼女は、双子の赤ちゃんを出産し、妹ちゃんは無事に育ちましたが、お兄ちゃんは生後わずか2日で旅立ってしまいました。
「双子の子育てを心待ちにしていた分、ぽっかりと空いた心の穴は大きかった」
「妹が寝ている間、いろいろと考えてしまって…何かに没頭できる時間がほしかった」
そう語るみのりさんが出会ったのが、家にあるもので始められるカルトナージュだったのです。
牛乳パックと布という身近な材料で、簡単な小物入れや貯金箱、写真立てなどが作れること。
そして、「この布を使ってこんな形にしてみたい」とイメージを広げていく時間が、心を少しずつ癒してくれたのだと言います。
当日のワークショップでは、参加者それぞれが布の柄を選び、厚紙を折り曲げてボンドで貼り、布をピンと張って、世界にひとつの小物入れを完成させました。
「これ、私でもできた!」
「この布、あの子に似合いそうだったから選びました」
「無心で手を動かしていると、なんだか落ち着きますね」
そんな言葉が、作品と一緒にぽつぽつとこぼれてきました。
制作の合間には、いろんな会話が飛び交い、参加者同士がそっと想いを寄せ合うあたたかな雰囲気に包まれていました。

午後は、恒例の「カフェタイム」。
お茶やお菓子を囲みながら、ふだんはなかなか話せないことを少しずつ言葉にしていく時間です。
自分の経験を話す人、ただ聴くだけの人、どちらもいてよくて、安心できる空間がそこにありました。
今回は当事者たちと当事者が身内にいる方が参加されました。
当事者と周囲の方の想いをお互いに語り合い、当時のお互いの立場の気持ちなどを気づくいい時間となりました。
そして、カルトナージュを教えてくれたみのりさんはこんなふうに語ってくれました。
「厚紙と布が形になっていくその工程に集中していると、自然と頭がスッキリしてくるんです。
何も話さなくても、ただ手を動かしているだけで、心の中に何かが芽生えてくるような…
完成した作品を見たときに、ほんの少しでも『やってよかった』と感じてもらえたらうれしいです。」
「一緒にかわいいものを作る」ことは、女性にとって共感しやすい空間が自然と作られる素敵な時間や場になると思われます。
【今後の花はすグリーフケアカフェ予定】
🌸花はすグリーフケアカフェ苅田
色彩心理学キュービックパステルアート&カフェタイム
@kie.onma3269
色彩心理学コミュニケーター・古賀けい子先生をお招きし、パステルアートのワークショップを開催します。
最初に選んだキュービック(カラーブロック)をヒントに、指先でふんわり描くアート。
気づけば心が落ち着き、自然とリラックスした表情に。
おしゃべりをしながら、癒しの時間を一緒に過ごしましょう。
- 日時:2025年7月10日(水)10:30〜14:00
- 会場:つどいの家なないろは(苅田町)
- 参加費:ワークショップ500円/カフェタイムは無料
- お昼持ち込みOK・途中入退室OK
申込フォーム(freee)
※グリーフケア経験者以外でも、グリーフケアに関心ある方、協力したい方の参加も可能です。
苅田町外、福岡県外の方も受け入れています。
🌸花はすグリーフケアカフェ行橋 ※行橋市民限定
メモリアルロゼットづくり&絵本の読み聞かせ・カフェタイム
講師:かとうかおり(@kaoring_ehon)
大切なお子さまの名前や記念日をあしらった「メモリアルロゼット」を作る人気企画です。
優しい絵本の読み聞かせと、ロゼット制作を通して、子どもたちとの大切な記憶に寄り添う時間をお届けします。
- 日時:2025年7月17日(木)10:30〜14:30
- 会場:Powanハウス(行橋市宮市町8-23)
- 参加費:無料(ロゼット印刷希望の場合は7/14締切)
申込フォーム
※今回のカルトナージュは花はすグリーフケアカフェ行橋の3月にて行います。
最後に
カルトナージュは、ただの工作ではありません。
「自分の手で作る」「集中して何かを形にする」その体験が、グリーフを抱える心にそっと寄り添ってくれます。
みのりさんのように、ご自身の経験から「同じような思いをした方とつながりたい」と願い、こうした活動を続けてくださる仲間の存在も、「花はすお話会」の宝物です。
今後は、小物入れや写真立てなど、より短時間で気軽に作れる作品を模索中とのこと。
ものづくりを通じて、これからもたくさんの方と心の対話を続けていきたいと思っています。
グリーフケアは、特別なことではありません。
日々の中で「ちょっと話したい」「ちょっと休みたい」
そんな想いを大切にできる場所です。
どうか必要な方に、このブログが届きますように──
花はすお話会 スタッフ一同