沖縄慰霊の日に想うこと

今日は6月23日「慰霊の日」。
沖縄ではこの日、戦没者の霊を慰め、平和を祈る時間が静かに流れています。
私は夫の仕事の都合で、かつて5年間、沖縄で暮らしていました。
その日々の中で、今までの人生では感じたことのなかった「戦争の痕跡」と「平和の尊さ」に何度も触れる機会がありました。
この土地には、まだ戦争の記憶が、確かに残っています。
子どもを守るために、子どもを手放す母の決断
西日本新聞の記事を読んで、心が張り裂けるようなエピソードに出会いました。
沖縄戦のさなか、兄弟三人を連れたある母親が、海岸沿いに見つけたガマ(洞窟)に逃げ込もうとしました。
そこにいた日本兵のひとりが、「泣く子は入れない」と言ったそうです。
その言葉を受けた母親は、「上の子は泣かないから」と、ひとりだけその上の子を「ガマ」に残し、下のふたりの子を連れて外へ出ていきました。
やがてひとりで戻ってきたその母親は、自ら手で石を積み上げて、「ガマ」の入口を塞いだそうです。
上の子の命をつなぐための究極の選択でした。
のちに米軍に見つかった上の子は、兵士から水を分けてもらい、命をつなぎました。
私はふと考えました。
もし、あの場にいた日本兵が女性だったら、同じ言葉を言っただろうか。
もし当時、軍の上層部がすべて女性だったら、戦争は始まっていただろうか。

戦争と母の「決断」──今の時代につながる悲しみ
自らの命をかけて子どもを守る──
その「覚悟」は、時代が変わっても形を変えて、母親の胸の奥に存在しているように思います。
現代の日本において、母親が子どもの命について深く悩み、苦しみ、時に「別れ」を選ばなければならない瞬間があります。
それが「人工中絶」です。
あるテレビ番組で見たのは、出生前診断の結果、赤ちゃんがダウン症であることがわかり、「上の子のためにも今回は育てられない」と決断したご家族の姿でした。
それを見て、「こうするべき」「それが正解」と簡単には言えません。
理由も背景も、それぞれの家庭に、人生に、複雑に絡み合っているからです。
中絶という選択──語られないまま残る、母の喪失
私が流産を経験したとき、多くの方がご自身の経験を話してくれました。
その中には、選択的中絶をされた方もいらっしゃいました。
・親から反対され、産むことを諦めた
・不倫の末、どちらの子かわからなかった
・まだ10代で育てる力がなかった
・生活が苦しくて、とても迎えられなかった
・おなかの中で育てることが医学的に難しかった
そのどれもが「軽い決断」ではありません。
むしろ、命と深く向き合い、悩んだ末に選んだ選択だったことでしょう。
最近、私の活動を知った友人がとあるきっかけで教えてくれました。
「誰にも話していないことなんだけど・・・」
ご両親にも言えず、ずっと心にしまっていたことを話してくれました。
その方は、最後に「話せてよかった。今自分にそういう時期がきているのかも。」と言ってくれました。
そんなときの私はその言葉を受け取るのみです。

宿った命は、みんなお母さんが大好き
私は思います。
どんな形であっても、
どんな別れ方であっても、
一度お母さんのおなかに宿った命は、
お母さんのことが大好きだと思うのです。
だから、どうか自分を責めすぎず、
今を懸命に生きてほしい。
命は、決して母親を苦しめるためにやってきたのではありません。
ただ、少しでも幸せな時間を一緒に過ごしたかった──
そう願ってやってきただけなのかもしれません。
月桃の花が咲く日を信じて
わが家の庭には「月桃(げっとう)」という沖縄の植物があります。
今回のブログのトップ画像の白い花です。
ここ福岡では雪が降るたびに枯れてしまうのでなかなか成長しなかったのですが、
今年の冬はなんとか冬を越すことができ背丈がずいぶんとのびました。
「いつか咲かせたい」「世界平和」を願いながら、大切に育てています。
月桃には、沖縄で平和への願いを込めて作られた歌「月桃」があります。
「命どぅ宝(ぬちどぅたから)」──命こそ宝
その想いを忘れないように、
そして、いつかこの想いを三線に乗せて届けられるように
最近、数年ぶりに三線の練習を再開しました。

花はすお話会からのお知らせ
「ひとりじゃないよ」あなたの想いをお話できる場でありたい
私たち「花はすお話会」では、流産・死産・人工中絶・新生児死などで大切な赤ちゃんとのお別れを経験した方が今の想いや当時のお話を語る場と機会を提供しています。
【次回のお知らせ】
🌸花はすグリーフケアカフェ北九州
2025年7月8日(火)10:00~12:00
北九州市立男女共同参画センター・ムーブ4階工芸室
お話会&カフェタイム(無料)
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必要な方に、どうかこの想いが届きますように。
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花はすお話会 代表:江藤弥生
グリーフケア士/家族心理カウンセラー
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